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Sincerity is loaded。

【Sincerity is loaded】=【真心を籠めて】



嫌な夢を見た。




今日は午前中だけの授業だったから、
いつもは一緒に食べてくる人たちとも食べず、
なるべく急いで電車に揺られて帰ってくる。


一緒に、昼ごはんを食べる約束だったから。



オレの家にて、ベッドで寝ていた。

たぶん、自分でも知らないうちに寝ている。
人の家に上がって、勝手に寝るような奴じゃない。

オレも最近、テスト勉強や物理学実験のレポートで夜が遅いから、
少しだけ眠い。

背中を預けるように、背中合わせで空いているスペースに横になる。






オレの存在が、消えていた。







目を覚ますと、1時40分を過ぎている。


隣を見ると、まだ寝ていた。


起こさなきゃ。

それは、昼ごはんを食べてないとか、そんな理由じゃない。


起きてくれなければ、駄目になってしまう。



無用心に突き出された手を握る。


眠りが浅かったのか、それで起きてくれた。

汗ばんだ髪に触れながら、だいじょうぶ、と訊いてくれる。

普段なら、寝ちゃっててごめんね、とか言うんだろうけど、
どうやら異常だと気づいたらしい。


あの夢を見た。


そう、とだけ言って、握っている手を握り返してくれる。
こいつ、本当に大人だなぁ、なんて思いつつ。


「お昼ご飯、食べに行こうか」


努めて、普通に言う。

何も言わずに、ついてきてくれる。


いつもは、オレの斜め後ろを半歩に歩く彼女だけれど、
今日は、隣に寄り添うようにして歩いてくれる。



オレたちは、人前で手を繋ぐということが酷く苦手だった。

オレとしては、手汗が出てしまうから、嫌がられたくないという理由から。

彼女としては、人前でそういうのをするのは嫌だという理由から。

理由は違えど、意味は同じだったから、しないでいた。

たぶん、4年も付き合ってきて、手を繋ぎながら外を歩くというのは、10回前後だと思う。



でも、今日は、マンションから外に出ると、
手をとって、離さなかった。



「ほら、ふらふらしちゃうと、私も困っちゃうから」



大人だな、この人は…。


「どこに食べに行こうか?」

「うーん…。あ、きょーくんがバイトしてるとこがいいな」


雨も強くない。大して遠くもない。
けど、やっぱり、バイト先に入るのは恥ずかしいわけで。
でも、断る気分にもなれず、そのまま歩き出す。


久々に手を繋いでも、とりわけ話すことはない。
話さなくたって、分かってくれる。





オレが消えていく。


もし、本当にそうなったら、どうなるんだろう。



昨日は笑いあっていたはずの人が、


「だれ、おまえ」


次の日、こう言われたら、オレはどうなるんだろうね。

けれど、次の日には、それすら言われない。


オレには、みんなが見えている。
皆には、オレが見えていない。

空気のように霞んでいって、じきに、記憶からも消えていく。


誰も、覚えていない。

オレが生きてきた証が、少しずつ消されていく。

もし、それですっぱり消えてしまって。

けれど、世界はいつもどおりに回っていくのだったら。

自分がここにいる意味はなんなんだろう。

オレのいるべき場所は?

オレがなすべき意味は?


…考えなくたって、世界はいつもどおり回っていく。

いなくたって、同じ日常を繰り返していく。

分かっては、いるんだけどね。



オレの影響が悉く消え失せて、空っぽになってしまうんなら、
今までオレが影響を与えてきた人はどうなるのかな。


幼馴染みは、3人になるのか。
そうだな、きっと、
翼の下半身不随の、元々の原因を作ったオレがいなくなるんだから、
あいつは今でも歩いていられるんだろうな。
そしたら、従妹も今みたいにそこまで勉強してなくて、
法学部なんて行く気にはならなかったかもしれない。
春菜だって、そんなことがなかったら、
誕生日までのすれ違いから逃れて、
もう少し早く、翼と恋仲になって、
互いに知らない隙間を埋めるように、生活していられるんだろう。

…考えれば、考えるほど、嫌になる。


サークルはどうかしら。
このサークルは、元々、オレが計画して作ったものだから、
オレがいなかったら、このサークルは成り立つことすらない。
だったら、綾馬とゆりは出会っていなかったわけで、
そうしたら、こいつらはモテるから、他の人と付き合ったりしてるわけか。
昔は、こんなに不似合いな二人なんて、そうはいねぇとか思ってたけど、
今となっては、こいつら以上にお似合いな人は、そうはいねぇとか思ってるし。

時間と人が、
この世で一番、優しくて、残酷なものなんだってのは、
真実だと思う。

時間の流れが、人それぞれが一番、幸せだと思う瞬間で、
止まってしまえばいいのに。



両親はどうかしらねぇ。
母親は特に。

自分の子どもに傷つけられて。

あなたが、私から受けとった幸せは。

あなたが、私から受けた痛み以上でしたか?

あなたは、私に生を与えて、本当に幸せですか?




終わりに、手を繋いでくれる人のこと。

オレがいなくても、オレのいない、オレの家に来ることになるだろう。
そしたら、どうなっていたんだろうか。
何年かはオレの家にいるんだろうけど、そしたら、いつかはどこかへ行く。
それが、どこなのか、まったく見当はつかないな…。
さらに時間が過ぎて、何処かの大学へ行って、
他の男と付き合ったりするんだろうか。

彼女の隣にいる奴は、どんな奴なんだろう。
いったい、どんな奴なのかな。

オレより大人だろうか。
カッコいいのかな。
…ああ、そりゃ当然か。オレみたいな奴の隣にいるのが奇跡だもの。
きっと、性格もいいんだろうな。
で、もっとお金がある人のトコ行って、
もっと援助してくれて、とっくに病気なんて治ってるんだろうな。

…そして、彼女は、幸せなんだろうか。
幸せで、いてくれるのかな。

どんな顔をするんだろ。
今まで、オレに見せてくれなかった、
そんな顔までするんだろうか。

オレがいなかった世界で、
何事もなかったかのように、
幸せを掴み取ってくれるんだろうか。

考えるのが、嫌になってくる。
自分の無力さって言うのかなぁ、情けないというかなんというか、
ぜんぜん、ダメな奴なんだって思わされる。



…でも、譲れないものだって、オレにはある。



オレは不器用で、守るって決めた人しか守れない。

だから。


守るって決めた人は、絶対に守らなきゃいけない。




この握った手が、他の男と握ってるなんて、考えたくもない。




その手を握るのは、このオレだ。




誰にも、この手は譲らない。





…もうやめだ。




少しだけでいいから。




夜、眠るのが怖いけど。




寝よう。





終わってしまわないように。





いつもどおりの明日が来ると。





祈りのようなささやかな願いを、胸に秘めて。




comment

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あれ、非公開になってる。


別に見られたくない訳じゃないから、
レスしてくれるなら、
気にせずしてけろ~。

>リッチー

うぬぬ。
昨日のオレはマジで凹んでたぞ…。

私が、人に与えられるもの、ねぇ。


ま、今から探しても、遅くはないでしょう。

知らないうちに振りまいているのかも、
あったりするのかもしれませんしねー。
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跳水

Author:跳水
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フツーの大学生の物語。
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