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The sea of stars。

【The sea of stars】=【星屑の憧憬】



昨日の帰り道、ずぶ濡れになりながら帰る少年が、
ふと、空を見上げて思ったことである。

遠い空、もしかしたら人目に触れず煌き続ける彼らは、
人工的な灯りで光り輝くこの街でさえも、
ずっと瞬いていることしかできないように、ただ、綺麗だ、と。



これから語るお話は、時間軸を昨日に戻して進めることになる。

昨日、とある少年が、高校生の友達と食事に出かけ、
その帰り、みんなと別れたあとからお話は始まる。

とりあえず、彼は極めつけのアホだった。
歩道は狭いと言っておきながら、「こんなところに歩道があっただろうか」などと、
意味不明なコトを思いつつ、左にハンドルを切る。
が、そこは水が溜まる土手のようなもの、
横転し、見事にそこに自転車ごと突っ込んでいた。

そのとき、時刻は深夜12時半を回り、街頭も少なく、車から放たれる光さえない。
近くの道を知らず、また、自転車のライトが小さすぎて見えなかったという言い訳は、少しだけ、ほんの少しだけ、とてもちょっぴりだけれど、許されるであろう。

とはいえ、水の量は少なかったのか、さほど濡れもしなかったが、
左のジーパンは膝上まで濡れ、靴も浸水、カバンも少し濡れるということになってしまった。
それよりも重大なことは、体の怪我である。
左の太ももを強く打ったのか、ズボンをめくらずとも摩っているのはわかる。
加えて、左の肘、腕にも擦り傷を負っている様子だったが、
先ほども言ったように、彼は底抜けのアホである。


「やっべ。時計と携帯とメルブラとiPodとマンガは!?」


もはや、クソの領域であることは、皆様はすべてお気づきだと思われるが、彼自身は帰り道にようやく気づいたことである。
幸い、彼が心配していたすべてのものは無事であり、
一部、浸かった前輪を引きずり出し、持ち上げ、とぼとぼと濡れそぼった体を温めながら帰還したものである。

所要時間は45分ほど。
ただ、濡れている上に、自転車で必要な太ももを一番強く打っている以上、
そこまで早く漕ぐこともできず、また、坂道を登ることなど不可能に近い。
とはいえ、膝を曲げると太ももは痛み出し、坂道の途中で降りるだけで悲鳴を上げている。
かといって、そこらへんに放り出して野宿するワケにもいかないので、
なんとか気合と根性だけで帰還することに成功する。


自転車を駐車場の隣の隙間に置き、門をくぐり、合鍵を回す。
玄関の電気は点いていたが、階段や廊下の電気は点いていない。だが、リビングだけは点いていた。
「誰か起きてるのかもしれない」と思いつつ、漬物と化した靴を脱ぎ、同時に靴下も脱ぐ。
カバンを置き、一息ついたところで、玄関とリビングを繋ぐドアが開き、ひょっこりと顔を出して悪態をつく女性。


「あんた、帰ってくるの、遅すぎ。食べてくるだけなのに、なにしてんの?」
「や、ちょっと土手に落ちて。他にも理由はあるけど」


適当な言い訳を、やれやれと言った感じで聞くのは、天才であるゆりである。
珍しく眼鏡をかけているが、決して視力が悪いワケではなく、ただの集中力をあげるための道具らしい。


「怪我はないの?」
「んー…」
「大したことあったら殺すわよ」
「大したことはない。ただ、ちょっと擦り剥いただけで」
「じゃあ、手当てしてあげられるね。とりあえず、お風呂に入ってきなさい」
「ん、ありがと」


なんだかんだ言っていい奴である。
汗と泥水で濡れた体の節々を洗い、ため息をつきつつ、ぬるくなった風呂を上がる。

リビングに行くと、涼やかな風。クーラーがついているらしい。
皆がお茶の間として利用する小さなテーブルの上には、
様々な音符が散りばめられている楽譜と、お気に入りのシャープペンシル。


「お帰り。で、なにやってたの?」
「ん、ちょっとノリでファミレス3件、梯子した」
「…ま、その程度だったらいいけど。で、怪我は?」
「別に大したことのなかった。太ももがちょいとすごいけど」


彼女もまた、彼と同様にため息をつき、
この家の構図を熟知しているかのように、勝手に救急箱を取り出し、
オロナインを持ってきてくれた。


「腕、塗ってあげるから、袖、まくって」
「あ? それくらい自分でできるっつーの」
「あんた、そんな腕の裏のところ、満遍なくムラができずに塗れるとでも思ってんの?」
「………」


どうやら、彼に拒否権はないらしい。仕方なく、片腕を差し出す。

6歳上の彼女は、彼にとって、あらゆる意味で“刺激が強すぎる”。
あまりに無防備であるのもあるし、それ以上に、彼女が放つ魅惑というのが大きい。
いつもは見せている無茶苦茶な行動とは裏腹に、このような姿を不意に、しかも自然に出してしまうから始末が悪い。
彼は、普段見ている彼女と、少しでも違う様子を出されたら、すぐに目を逸らしてしまうのだった。
会話をしなければだめだ、と思って話題を振る。


「他のみんなは?」
「寝たよ。あんたが帰ってこないと面白くないんだって」
「そう。じゃあ、あいつは?」
「あの子なら12時ちょっと前に部屋に行ったけど」
「は? オレ、あいつから1時ちょっとすぎにメール来たんだけど…」
「…ふぅん。よかったじゃない」
「…そうね」
「見てきたら?」
「そうする」


引きずるように二階に上がる。
暗闇の中、部屋のドアを開ける。
沈黙が数秒続いたあと、ようやく目が慣れてくる。
吹き込む風で揺れるレースのカーテン。
従妹と彼女は、寄り添うようにして眠っていた。
そのまま、入ることなくそっとドアを閉めた。
降りてくるなり、中の様子さえも聞かず、ゆりは言った。


「そういえば、あの子、夜食作ってたよ」
「なんで?」
「私が『仕事があるから』って言ってたら、あんたのもついでにって」
「お節介な奴め…」
「そこがいいところなんでしょ? あの子以上にお世話してくれる子なんてそうはいないって」
「同感。あいつがいっぱいいたら、世界は平和すぎる」


「太ももも塗ってあげようか?」なんて、悪魔めいた笑いで誘ってきたが、さすがにそれはよろしくない。
彼女が冷蔵庫に向かっている間に、腫れているのも確認しつつ塗り終える。
夜食と焼酎と氷と水を次々と持ってくる。

「せっかく待っていてもらったんだから、いつもあの子がやってる朝ごはんの準備くらい、あんたがしなさい」との命令は、
ちょっとベクトルがズレていると思いつつ、それもごもっともであるとも思ったので、
今から寝たら起きられないし、仕方なく二回連続の徹夜をすることにした。

書きかけのハズの楽譜は、一向に進む気配を見せず、
以前に、ペンすら持つことはなかった。
理由は簡単。
彼が帰ってくる前に、その楽譜は完成していたからである。

正直な話、テレビもつけるわけにもいかず、
ふたりきりでゲームをするわけにもいかず、
かといって、話題があるわけでもなく。

焼酎の入ったグラスの氷が、熱でカランと揺れた。


「…付き合ってあげてるんだから、昔話に付き合って」


不意に。
そんなコトを言った。


昔話とは、このような話である。

彼女には弟がいる。
この日記の主人公である彼と同い年の弟で、けれど、18歳にしては小さすぎる体。
元々、控えめな性格で大人しく、あまり身長も大きくない子。
病気ではなく、健康体であるのだが、元々の性格や体質はどうしようもない。
6歳上の彼女は、その弟をとても可愛がった。
世話好きだし、何しろそういった性格の弟は、世話の焼きがいがあったからだ。
甘やかしすぎている、という自覚はあるものの、
それをやめるということはしなかった。
その結果、彼は、高校三年生のとき、
今まで受けた恩と優しさを胸に、姉に向かって言ったのだそうだ。

「お姉ちゃんみたいな人になる」と。

それが、姉にとっては大きな負担であるらしい。
邪魔だとかいうわけではなくて、それは無駄なことであると思っている。
人はそれぞれの人生があって、人の生き方に倣っても仕様がないだろう、と彼女は言ったのだった。
加えて、彼女は、自分の才能を理解している。
一般人では追いつけないことを、彼女はそれとなく知っている。過大評価しているわけでもなく、客観的に見て結論付けたことである。
だから、彼女は、自分の生き方を薦めない。
それを無視して、彼は精一杯に勉強し、姉と同じ大学、学科に進学した。
彼女は、合格の報せを喜んだし泣きもした。けれど、裏ではため息をついていた。


そんな昔話である。
意見を求められて、けれど、黙っていた。


彼が辿ったのは、けれど、苦難の道。
ありとあらゆる方面に祝福を受けた彼女は、
尋常でない努力を一瞬で補える才能の持ち主だった。
それに追いつこうなどというのは、言わずもがな、井の中の蛙である。
どうしようもない才能を持ち合わせる彼女に追いつくためには。
それこそ、どうしようもないこと。
いつもそれに気づいては絶望し、立ち上がって頑張ってきた。
でも、時々、彼は独り言を漏らす。

「ぜんぜん、才能を持ってないなぁ」

彼は、気づいていないのだった。

普通の人は、彼女の実力を見、経歴を聞いただけで、
彼女にはとても追いつけないと感じるはずである。
もし、少しでも追いつこうとしても、すぐに諦めざるを得ない状況に追い込まれるはずである。
それが、姉弟という関係であれば尚更だった。
期待されるのは当然、さらに親は超有名な会社の社長と来る。
これ以上の期待が圧し掛かりながらの人生というのは、そうあるものではない。
でも、諦めることは一切しなかった。
それが、彼にとっての才能の一つであることに気づいていないのだった。
姉である彼女もまた、それに気づいていなかった。

二人して、それは、姉弟の絆を見せるように、
その一点において、決定的なまでの姉弟の証だった。


妙にしんみりとしてしまう。こんな空気は似合わない。
月が堕ちていくのと同じように、話も終わりを告げた。
時計を見ると、午前5時半。そろそろ朝食の支度だ。
ユメを断ち切るように立ち上がる。


「さて、お前の弟の話だけど」
「うん?」
「オレは別に、間違ってないと思う」
「なんで?」
「…姉には分からない、弟の理由ってもんがあるんだよ」
「なにそれ?」



それきり、二人して黙って朝食の準備を進める。
6時きっちりに起きてきた、彼の彼女の驚きの顔を迎えて。




さて、このあとのお話は、それはまた、別のお話ということで。








(あー…。日記を小説風に書くって疲れるよなぁ。
 しかも、セリフとか超適当だし…。
 まぁ、筋はあってるからいっかー)


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